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北海道のアウトドア!

北海道のアウトドア!

唯我独尊

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 俺は札幌のサラリーマン。

最近彼女に乞われて婚約もしたし、営業成績も支社でナンバーワンに輝いた。そうなるまではもちろんのこと紆余曲折もあったのだが、今はけっこう幸せな独身生活を送ってる。こんなにうまくいったことは無いし、自分の将来も有望に感じてしまう毎日だ。

 昨日、支社長に呼び出されてご馳走にもありつけたし。彼女の両親からも「娘を宜しく」なんて言われて、嬉しいし自信が沸いてきた! 俺は最近最高! びっくりするくらいなのだ。

 でも、冬の北海道。独り暮らしのマンションに帰るのは辛くて、どうせ寝るだけだもの夕飯は居酒屋さぁ。その後、いつものように自分のマンションに帰ったんのだが、あんな信じられないことが起きるとは・・・・・・

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 俺は、寂しさから観葉植物のポトスとユッカを育てていた。彼女達のことがチョット心配になることもあった。しかし、その日は普通じゃなかった! 俺が地下鉄の駅を出てマンションの目の前に来た時に異変に気がつき不安を感じた! つけていないはずの部屋の電気がついているのだ。

「鍵をかけてきたのにおかしい!」

 俺は取り乱すほどに思考を回転させて、有り得る想定を駆使したのだが、思いつかない。そおしてままよと恐る恐る自分の生活空間の扉を一気に開いた。

「うっ、うぉぉーーーーー!!!」

 そこには信じられない光景が展開しているではないか。これは全くの想定外! 涙までも流れ出るショック状態が俺を硬直させた。

「何者なんだぁーーー! おまえ達わぁーーーー!」

 ザワザワする部屋の中、俺の狭いマンションが満員電車の状況よろしくすし詰めであることが、なんとなく伝わって来た。なんと、誰もいないはずの僕の家に上り込み、俺を迎えている(ように見える)物体は、口が耳まで裂け、目が細長く、そしてきょろきょろ目を動かす、人間とは思えない、怪物だった!

「お帰りなさいましぃー。」

 俺の帰りを待っていたかのように、だらだらとヨダレを流しながら喜んでいるではないか。

「こっ、これはマズイ!!」

 人間とは、恐怖や突然のショックに遭遇すると「髪の毛が総立ちする。」と聞いてはいたのだが、少し長めの俺の髪は、鏡を覗かずとも天高くそそり立っていることを自覚できるほどだ。しかし、ここは俺の城。震える唇を抑えるように、勇気一発! 大声で叫んだ!

「おまえはなんなんだ! どうして俺の家にいるのだ! 警察をよぶぞ!」

 情けない・・・・想像した30%も声が出てはいないではないか。そして、間髪を入れずに目の前の彼(物体)は小さい声で、せわしなく、日本の言葉で話し始めたではないか。

「待ってください、待ってください・・・・」

「私達は・・・」と言ったときに、顔がでかくて体が小さい歯茎だけが目立つやつが唾を飛ばしながら駆け寄ってきた。

「私の名前は、でしゃばりです。ご主人様にお調子者が失礼を働いたのならお許しください。私達は決して貴方のことを憤慨させるために・・・・・・」と、お調子者が言った瞬間、暴れ出すヤツもいた。

「ばかやろぉーー」

 机をひっくり返すは、ひどく荒れている。そこに体の線が細く、青白い顔をした、身長が50センチくらいなヤツが跳ねるように飛んできて、俺に懇願しているではないか。

「私のの名前は小心者です。許して、、許して、、おねがいします。」

 人間ならば、こんなに滝のような涙を流せるはずがなかった。もう、既に俺の足もとはベチャベチャに濡れている。もうテンパッテいた俺は、ここに妖怪のようなヤツが何匹いるのか、何しに来たのか、わからない。知りたくもない。ただ、普通がよかった。
   
「いいかげんにしてくれーーー! 俺はつかれている!」

「妖怪みたいなヤツは帰れぇーーーーー!」


 その時の俺は、その状況が改善されて、少しでも元の平穏に戻れるのであれば何でも出来たような気がする。

「野郎ども! 失礼があってはならない! 静かにしろ!」

 ついに、一番身体が大きな、、、大魔人のグループを戦わせて最後まで勝ち残ってきたような大物があらわれた! 回りの物はひれ伏せたまま、「増上慢様ぁ。親方様ぁお許しください・・・」と恐縮しているではないか。彼は俺の前までドスンドスンと歩み寄ったかと思うと、目線があった瞬間、やはりに涙を流しながら話しはじめた。

「ご主人様ぁ! 私達は・・・ぐおぉーーー!!」

 親方が泣いている。。。俺も泣いている。。。

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 彼が言うには
「私どもは、あなたの心の友達で一生お付き合いをしていきたかった。今までうまくやってきたのに・・・」

「しかし、貴方は変わってしまった。私達は住むべき場所を失った今、貴方と私達の家でお別れ会をもようしてしていたのです。どうか、今日が限りのお別れを許してください。ぐぉーーー!」
 泣いている。。。俺は目がカラッポだ。。。

「何の為にそんなことが起きるのですか? 親方。貴方は話がわかりそうだ教えてくれ!!」

 俺は、搾り出すような声で懇願するように詰め寄った。

「旦那様ぁ! 私達は貴方のたくさんある心の欠点の集まりです。今日はお別のために初めて姿を現しました。私達の食べ物は貴方の失敗とせつなさなのです。しかし最近は私達の食べるものがなくなりました。私達は自由です。時間を超えて次のご主人に仕えるために、お別れ会を開いて、今後のことを打ち合わせしていたのです。今までありがとうございました。幸福でした。ぐぉーー!」

 俺は放心状態ながら、やっと事の成り行きを理解し始めていた。何よりもこいつらはいなくなってくれる! 喜びとは人を勇敢にするもの。俺はやっと大きな声が出るようになってきた。

「まてよ! あんたらが私の心の欠点で、お別れするのなら・・・・」

「俺はこれから今以上に幸福になり、素晴らしい人間になるのだな!」

「やったぜ! ベイビィーーー!」


 嬉しかった。別れられる。幸福が訪れる! おれは最高だ! 幸福だ! みんな! 見てくれぇーー! そして、思わず叫んだ。

「天上天下唯我独尊!!」

 俺が、叫んだ瞬間だと思う。100人以上いたと思われる妖怪たちの体が透明に消え始めました。

「オイ! もうお別れなのか? お茶くらい出してやれば良かったな! がはははは!」

 最高の気分が俺を覆い、俺は恐怖を忘れ去り有頂天になっていた。

 すると、増上慢が満面の笑みをいかつい顔に浮かべながら合掌しているではないか!

「嗚呼、ご主人様。やっぱり、私達108人は貴方といなければ幸せになれないのですね!」

「今日のことは忘れてください。しかし、これからも末永く、私達のことは大切にしてください。」


 話しがおかしくなってきた。消えかかった彼に俺はは叫びかかった!

「おまえ達は、何時から俺に寄生しているんだぁ?」

 霞のようになった彼が最後の言葉を残し消えていった。

「そうですねぇー。かれこれ4000年ぐらいでしょうか?」

 俺のポトスとユッカはそれまで接待をしていたらしく、すべての妖怪が消えた後、私に抱きついて、泣いていた。彼女達は今も俺の家で元気にしていますが・・・・・・・・





おわり



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いかがでしたか?これは。。。私が本当に体験した話。。。

では、ありません!ウソウソ。ごめんなさい!

でも、人の心にはたくさんの魔物と良心が混在していることは確かなのでしょうね。文化や科学の進歩も、きっと人の心の進化が招くのかもしれません。

だからこそ!良心とヒューマニズムの教育は、これからもいっそう大切。それを行うためには、人間の本質を理解する努力も必要なのかもしれませんね。


さて、今日は「中秋の名月」ですね。残念ながら札幌は天候が悪いみたいです。

僕はギターと降るような北海道の星空が大好きなんですよ。釣りの終わった夜。ギターを漁港で奏でると、どこからともなく、拍手をいただきます。(笑)今日は、そんな星空でお別れします。


「渚のギタリスト」BGM付でアルペジオを楽しんでくださいね。←クリック

沢山の恋愛が降り注ぎますよ。じゃね。おやすみ。バイバイ。


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渚のギタリスト




ギターを抱えて見た夢は

焚き火の炎と舞いあがり

銀色音符が星にかわった


思いを爪弾くアルペジオ

奏でるたびに光りを放つ


あの星は誰が歌ったのだろう

ひときわ悲しいカシオペアを


海に投げ出す願いの声は

季節が音符に染め上げる


愛しい人へ残していける

永遠の歌となるのだろう

いつまでもいつのときも


ギターを抱えた浜辺には

恋人達の詩がこだまする

そして私を包み込むよう

一緒に歌ってくれていた







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